コラム

2010/12/10

落盤事故と理想のリーダー(茨城・KK)


▼毎年この時期になると新聞紙上などを賑わす世界10大ニュース。この原稿の入稿時には発表されていないが、チリ・サンホセ鉱山落盤事故救出劇の上位ランクインは、ほぼ確実だろう

▼地下700mの暗闇に閉じ込められ、パニックに陥る33人の鉱員を勇気づけた現場監督のルイス・ウルスア氏。本来なら暴動が起きても不思議でない極限状態のなかで、食糧の公平な分配、仕事の役割分担などを通じ、チームのモチベーションを維持し、生き延びる希望を与えた

▼先ごろ放送が終了したNHK大河ドラマ『龍馬伝』。人なつっこい笑顔の福山雅治さんの好演が、実際には会ったことのない坂本龍馬の魅力を十二分に感じさせてくれた。同番組には、ビジョンを掲げる坂本龍馬のほかに、人情型と言われる西郷隆盛、管理型・大久保利通、指南型の勝海舟とタイプの違う幕末のリーダーが登場し、現代人の目線からも、大いに考えさせられた

▼ビジョン型の典型の龍馬だが、人情も管理能力も合わせ持った優れたリーダーだったに相違ない。海援隊の船長の立場は、船員間の強調と縦割りの役割分担という指示系統も維持しなければならない。そして、いわゆる「キャプテンラスト」。船長は乗員の安全を確認してから、一番最後に船を降りることを求められる

▼「愛されたい」「ほめられたい」「認められたい」。人が求める「3たい」だと以前聞いた。地下のウルスア氏は、全員を必要な人材と認め、仕事を与えた。そして70日後の救出時は「キャプテンラスト」。逆に「キャプテンベリーファースト」と揶揄される昨今だが、これは憂慮される。(茨城・KK)

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