コラム

2011/01/12

いくらまで払う(新潟・HT)

いくらまで払う

▼タバコの増税からしばらく経つが、100円程度の値上げに動じることもなく、今日も相変わらず、至福の一服を楽しむ。それは値上がり前となんら変わることはない。「この1本で、地方財政に、貢献しているのだ」と少々強引な使命感を持ちながら、嗜好品に火を着ける。

▼値上げを契機に、タバコを止めたという話も聞くが、至福の一服に対する費用対効果の観点から、今回の増税では、禁煙までには至らなかった。そればかりか、まだ多少の値上げならば付き合う方針である。

▼「将来的には1箱、1000円まで値上がり」と喫煙者にとっては脅迫とも感じる国の方針には、危機感を覚える。さすがに、1000円までの値上げが慣行された日には、禁煙を検討せざるを得ない、地方財政の前にこちらが破綻してしまう。ただ、この先、この1服に、一体、いくらまで払えるのだろうか。

▼公共事業の継続の判断を問う再評価の手法としてCVM法というものがある。河川環境整備事業など、事業便益の貨幣価値化が難しい場合に用いられている手法だ。要は、「この事業を行った効果に、あなたはいくら払いますか」などのアンケート調査で、事業の価値を検証するものだ。事業と縁遠い者には、それ自体が無駄に映り、恩恵を受ける人間にとっては、見合った金額を回答する。

▼今後、さらなる値上りが想定されるタバコを買い求める人間がいるように、利便性や安全性を期待する人がいる以上、安易にムダと判断されるものは無いはずである。この不況下で、公共事業が与える恩恵の対価として、支払う限界は、過ぎてしまったのか。あらためて問いたい。(新潟・HT)

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