コラム

2011/01/15

割れ鍋にデンプン質(東京・JI)

割れ鍋にでんぷん質

▼我が家ではカレー鍋がブームとなっている。野菜も肉も食した後、最後に白飯とチーズを入れてカレーリゾットにする。つい食べ過ぎてしまうのだが、どうしても止められない。ところが先日、愛用の土鍋にひび割れが生じた。対処法をネットで検索すると「米のとぎ汁を煮れば、でんぷん質が割れを塞ぐ」とある。さっそく実行してみると、ひびは少し改善したようだった。

▼安心して白菜や豆腐などの具材を放り込んでぐらぐらと煮ていると、鍋裏の亀裂が前にも増して激しくなり、「ひび」どころか明らかな「割れ」に転じた。溝からはだらだらと汁が漏れ出し、ガスコンロの火はついに消えた。

▼国土交通省が昨年12月から始めた建設産業戦略会議。建設産業の再生について議論を進めており、3月には来年度に取り組む施策をまとめるという。業界復興に向け、国は何をするのか、地方はどう対応するのか、そして建設業界は何をすべきかといった指針を是非とも示してほしいと思う。

▼イメージも企業数も就業者数も下降している建設産業。再生への対応が手遅れとなれば、産業従事者の生活のみならず、地域全体の経済に悪影響を及ぼすことになり、ひいては国がしぼんでしまう。日本経済の火を消してはならない。

▼鍋は必需品のため、同じ土鍋を新たに購入した。説明書を見ると「初めて使用する前に」という注意書きに、米のとぎ汁や小麦粉などを煮るよう書かれている。割れてからでは手遅れで、使用前にやらなければならなかったのだ。最初の取り組みを間違えると、そのツケは必ず回ってくる。今回の経験で、それを思い知らされた。(東京・JI)

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