コラム

2011/02/26

竣工式と春を待つ心(山梨・SA)

竣工式と春を待つ心

▼卯年の新年スタートから、早くも2カ月が過ぎようとしている。残り1カ月弱となった2010年度では、新年度からの供用に向け、これまで建設を進めてきた建物など竣工式が目白押しで、その取材が多くなってくる。

▼竣工式の取材依頼の際、担当者に「まもなく完成ですね」と話を進めると「何とか卒業式にまでには間に合わせたい」と話が帰ってくる。間もなく来るであろう、春の足音にあわせ、人も機材も急ピッチで現場は動いている。

▼ある自治体が挙行した、体育館の竣工式典の模様は、とても感動的、かつ壮大だったことを覚えている。内容は、在校する低学年児童による「虹」という合唱が披露された。学校という環境から、数10年以上も離れていたせいだろうか、生の合唱の歌声で、素直な気持ちと勇気を与えられた。さらに、高学年生徒による、太鼓の演奏が始まると、体育館が割れんばかりの大音響となった。演奏は、壁面やガラスを揺さぶり、これからお世話になる体育館へ、生徒からの多少手荒な拶とも思える、壮大な演奏が繰り広げられた。

▼担当者の話によると、建替えによって解体される体育館では、卒業生が主催するお別れ会が行われたそうだ。そういえば、筆者の母校もつい最近、取り壊されてしまったようだ。建物が変われば、別の学校という気持ちになるのがつらい。

▼現在、日本海沿岸ばかりか日本列島が記録的な雪に見舞われ、交通機関はもとより生活にも影響が出ている。しかし「冬来たりなば 春遠からじ」である。桜の季節は目の前だ。もうしばし厳しい寒さに耐えながらも、暖かな年度の時期を待ちたい。(山梨・SA)

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