コラム

2011/02/24

改革には少しの勇気がいる(埼玉・NT)

改革には少しの勇気がいる

▼先日、東京・池袋新文芸坐で「暴力の街」という古い日本映画を見た。某全国紙浦和支局が同人誌としたものを映画化している。思うところが多い映画だった。主な内容はこうだ。

▼「物資統制下、占領下の埼玉県本庄町(現在は本庄市)で実際に起きた?本庄事件?の実話である。ヤミ織物の横流しと警察や検察庁の怠慢を報道した新聞記者が、町会副議長であり、警察後援会長も兼ねる町のヤミボスから、間接的に幾多の暴力行為を受けるも、某新聞社浦和支局が記者をかき集め、街に詰所を設置。弾圧に屈せず報道し続けたことで、やがて、若者と町内の婦人団体も立ち上がり、町民大会へと発展し、ヤミボスが消えていく」という筋書きだ。

▼戦後昭和20〜30年代に活躍した二枚目スターで、昨年92才という天寿を全うした俳優・池部良さんのお別れ上映会でもあった。監督は、社会派で名を馳せる山本薩夫氏で、「真空地帯」「金環蝕」「白い巨塔」など話題作の監督である。

▼映画「暴力の街」は、実際に現在の本庄市で住民の協力を得て制作された。撮影中には、暴力団による妨害をも跳ね除けロケを敢行した。文字どおり趣旨に賛同し、街をあげての撮影となった。屈しない毅然とした姿勢がみえる。

▼昭和25年に封切られた映画だが、当時の国会でも物議をかもしたようで、警視総監が警察の信頼が薄くなり、警察官の士気が下がると発言したようだ。だが、映画の副題にもある『ペン偽らず』にもあるように、報道は、厳格に真実を見守らなければならないというところを強調していたようだ。どんな業界にも通じる時代を越えた課題だと思う。(埼玉・TN)

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