コラム

2011/03/04

心理的限界と刷り込み理論(茨城・KK)

心理的限界と刷り込み理論

▼陸上男子100m競走。陸上競技の中でも人気の高い花形競技で、トップ選手には「人類最速の男」の称号が与えられる。現在の世界記録はジャマイカのウサイン・ボルト選手が2009年にマークした9秒58。

▼1896年の第1回アテネ五輪の優勝タイムは12秒0。徐々にタイムは縮んだものの1936年にアメリカのジェシー・オーエンス選手が作った世界記録10秒2は20年間破られることがなかった。100m・10秒の壁が破られたのは1968年。アメリカのジム・ハインズ選手が9秒9をマークした。その後はカール・ルイス、アサバ・パウエルなど多くの選手が次々に世界記録を更新している。

▼「刷り込み理論」の研究で知られるオーストリアの動物学者コンラート・ローレンツ博士。「ハイイロガンの雛は、生まれた直後に目の前にあった動くものを親と思い込み、よちよち後について行く」という説で、1973年のノーベル生理学・医学賞を受賞している。

▼心理学用語に「ディスカウント(値引き)」という言葉がある。「自分で自分の価値を値引きしてしまう」ことだ。破られることがないと思われていた記録をある日、誰か1人が破ると、なるほど、まるで集団催眠から覚めたように、次から次へと追従者が出てくるから不思議なものだ。

▼昨年、活況を呈した家電業界。しかし、ひと頃は市場が成熟し切り、需要は限界に達していた。斜陽産業などと揶揄される向きもある建設業界。視点を変えることで突破口が見えてくることは、ビジネスの世界では四六時中起こっている。心理的限界を感じたり、悲観的要因を刷り込まれてはならない。 (茨城・KK)

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