高みを目指す人に(茨城・ＨＮ)

高みを目指す人

▼「山頂からの眺望は、これほどまで美しく、いままで感じたことのない爽快な気分にさせるものか」。駆け出しのころ、先輩の誘いで男体山（栃木県）を登ったときの感想である。奥日光の山々をはじめ至仏山や富士山まで眺望できた。

▼疲労による脱力感の中で見たあの景色と感覚は、まさに?達成感?の一言につきる。登山愛好家から見れば、初心者向けの山ではあるが、何分、まともな登山は初めての経験だったから、その感動もひとしおであった。

▼東京都墨田区に建設中の「東京スカイツリー」の高さが３月１日に６０１ｍに到達し、自立式電波塔では、中国広東省の「広州タワー」の６００ｍを抜いて世界で１位となった。到達の瞬間、施工者である作業員は声をかけ合い喜びを分かち合ったという。竣工は今年12月、開業は来春の予定だ。世界に誇れる建設技術が挑戦を続けている。

▼弊紙水戸支局に、広告面で営業から製作までを意欲的に手掛けるベテランの先輩がいる。最近、自身の特集広告を「今までのキャリアがすべて生かせた」と語っていた。記者時代に培った人脈や企画のノウハウが成功に結びついたという。その言葉を聞いたとき、「はっ」とした。最近、達成感が得られるようなことが自分にはあっただろうか―と。

▼がむしゃらでも何でもいい、一生懸命になれることがあれば、必ずや達成感が得られるはずである。それが仕事であれ、趣味であれ、己にとってプラスになることであれば何でも良いと思う。昨今、山頂に辿り着いたような、あの達成感が得られるよう、目線を上にして研鑽しなければと自戒している。（茨城・ＨＮ）