コラム

2011/03/12

ニセモノを飲み込むな(東京・JI)

ニセモノを飲み込むな

▼讃岐うどん、稲庭うどん。水沢うどん。山梨の「ほうとう」、群馬の「おきりこみ」、愛知の「きしめん」―。元そば屋の主人が著した『うどんの秘密』(藤村和夫著・PHP新書)には、数多くのうどんが登場する。この本では、そば・うどんの研究を続けてきた著者が「うどんの本物と偽物」を論じている。

▼本物のうどんは、歯で噛まずに飲み込めて「のどに吸い込まれる」らしい。しかし、世間で誉め言葉として使われる「コシのあるうどん」は吸い込むことができないという。これは使用した粉が違うためで、中力粉で作っているのならば良いのだが、強力粉を用いた場合は、いかに薄力粉を混ぜても強靭な硬いうどんができあがってしまうようだ。

▼うどんのみならず、人の本物・偽物を見分けることが必要な時もある。4月に行われる統一地方選挙もその一つだろう。10日には13都道県知事選、5政令市長選、44道府県議選、17政令市議選があり、24日には市区町村の首長と議員選が行われる。

▼どの選挙でも、候補者は当然のごとく夢や理想を掲げる。まるで当選させれば人々の生活が幸せになるかのように語る。しかし、そこに並べる言葉は本当なのか。最近は「公約」などというものはあってないに等しい。選挙演説で高々と示す目標に一体どこまで本気で取り組むつもりなのか。それを判別するのは非常に難しい。

▼うどんも人も、偽物はどこか庶民的なところがある。だから身近に感じてしまうのだろう。親近感が人々の感情を動かし、理性を崩す。票を投じる我々が簡単にだまされてしまうのも、無理はないのかもしれない。(東京・JI)

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