コラム

2011/03/15

レンタル文化の隆盛(茨城・KK)

レンタル文化の隆盛

▼「家は、買うのと借りるのと、どっちが得?」―誰しも、よく考える問題である。「ローンの金利負担は大きいが、完済すれば自分のものになる。家賃は出て行く一方」という持ち家派。「ライフスタイルの変化に合わせ、自由に引っ越せて気楽」と賃貸派。

▼結婚式の貸衣装といえば新郎新婦用が定番だが、最近では招待客向けの衣装、ハンドバッグなどの小物の貸し出しも増えている。驚くべきことに「相手方よりあまりに出席者が少ないと格好悪い」との理由から?サクラ?のレンタル家族なるものまで用意されている。

▼大手レンタルビデオチェーン・TSUTAYAの会員登録者3千万人。国内のレンタカー会社6000社、車両37万台。かつてのウィークリーマンションから今やデイリーマンション。学生・単身者向け家電…不況ゆえか、ライフスタイルの変化なのか、今やレンタル全盛だ。

▼今日のレンタルビジネスの多くは、江戸時代からすでに存在した。レンタルビデオ店は、さしずめ『貸本屋』。当時、本はかなり高価だったため、ほとんどの庶民は借りて読んだ。『損料屋』と呼ばれるレンタルショップが多数あり、衣料品を中心に、蒲団や枕、蚊帳などたいていの日用品を揃え、長屋住まいの江戸庶民に貸し出した。

▼江戸時代は、ほぼ完全なエネルギー循環型社会だった。高度成長時代から、日本人は個人が多くのモノを所有するために懸命に働いてきた。しかし今後、エネルギー資源や地球環境の問題からも、従来のように所有を続けることは困難になるかもしれない。今日のレンタル文化の隆盛は、当然の時代の隆盛なのだろうか。(茨城・KK)

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