コラム

2011/03/16

街全体がタカラモノ(群馬・HI)(

街全体がタカラモノ

▼今、新幹線に注目が集まっている。昨年12月4日、東北新幹線が八戸から新青森駅まで約81?延伸したのをはじめ、3月12日には九州新幹線鹿児島ルートが新八代から博多駅まで全線開通し、いよいよ新幹線が本州北端から九州南端まで一本でつながった。

▼かつて青森駅のイメージと言えば「終着駅」。鉄路は途切れ、津軽海峡が間近に迫る。到着した列車はスイッチバックで戻るしかない。しかし、青森駅西側の既存のJR駅を利用して整備された新青森駅のホームに立つと、青森駅のような終着駅のイメージはなく、次の「北海道新幹線」を予感させる。

▼北海道新幹線の開通も遠い話ではない。最大の難所である津軽海峡は、開通済みの青函トンネルが新幹線規格で造られているし、北海道側の工事も着々と進んでいる。津軽海峡を通る特急「白鳥」の車内アナウンスでは、開通時期を2015年と告げている。

▼これまで、東北新幹線の終着駅だった八戸市。その八戸市に本社を置く新聞社が発行する「デーリー東北」の2月12日付け1面トップ記事は「はっちオープン」。「はっち」は、これまでの終着駅から通過駅となった八戸市が、市街地に市民を呼び戻す施設として多額の投資をして建設したポータルミュージアムだ。

▼一方、北海道新幹線を迎える函館市。函館駅も青森駅と同じように鉄路が途切れるため、市街地から北側に離れた場所に新函館駅が整備される。乗り合わせたタクシーの運転手に、市街地空洞化の懸念を問うと、「そんな心配はありません。函館は街全体が財産のようなものですから」。函館市民が街を誇りに思う気持ちが伝わった。(群馬・HI)

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