コラム

2011/03/18

信なくんば立たず(茨城・HS)

信なくんば立たず

▼遂にこの季節がやってきた。野球やサッカー、バレーボールのプロリーグが開幕する球春が到来。今年はオリンピックやワールドカップといった世界的なイベントがないから、国内のスポーツに集中できそうだ。一体どんなドラマが生まれるのか、どんな新星が現れるのか、この時期ならではの期待感に胸が躍る。

▼とは言うものの、今年のスポーツ界では、すでに大きなドラマが2つも生まれている。1つはサッカー・アジアカップの優勝。イタリア人監督に率いられた若手中心の日本代表は、何度も逆境をはねのけ見事に栄光を勝ち取った。筆者も深夜の友人宅で雄叫びをあげ、就寝中の友人にひんしゅくを買ってしまった。

▼もう1つ。こちらは球技ではないが、春場所の開催中止にまで発展した大相撲の八百長問題が挙げられる。伝統ある角界に激震が走り、連日のようにニュースで報じられたこの問題は、未だ全容が解明されていない。相撲を愛する多くの人は早期の再開を望んでいる。

▼国技とも呼ばれ、普通のスポーツと一線を画す角界には、ある種、独特な世界観がある。八百長が明らかになったのはごく一部の力士だが、相撲全体が不信の目で見られるようになってしまったのは残念でならない。

▼政治の場で使われることの多い『信なくんば立たず』は、実際にはどんな世界でも当てはまる言葉だ。目先の利益にとらわれて信頼を失ったら、それまでの努力はすべて水の泡となってしまう。信頼を取り戻すには時間がかかるだろう。しかし、あの相撲ならではの手に汗握る真剣勝負はいつ見てもたまらない。一刻も早い再開を期待したいものだ。(茨城・HS)

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