コラム

2011/03/26

日本の林業について(新潟・YY)

日本の林業について

▼花粉症にはツライ季節である。晴れた日、近くの山からモウモウと花粉が飛散する姿を見ると、恐怖さえ感じる。林野庁によると、日本の国土面積に対する森林率は67%で、人工林率は41%。人工林のうち、花粉症の一因とされているスギが43%と最も多く、ヒノキが次いで25%となっている。

▼花粉は憎いが、スギやヒノキが、長いあいだ日本の林業や暮らしを支えてきたのも事実。そのことを考えた時、明治生まれの祖父がつぶやいた言葉を思い出した。「俺が子どもの時分は、スギっ葉なんて山に落ちていなかった。釜の火付けにスギっ葉を使い、どの家も競って葉を集めたものだ」と。筆者が子どもの頃、近くの里山を散歩したときの話しだ。

▼日本の植林の歴史を見てみると、江戸時代には幕府の政策として行われていたようだ。それから戦後、復興用資材として、成長が早いスギやヒノキの植林が積極的に行われた。しかし、その多くが未だ育成段階にある中、採算性の悪化など、林業を取り巻く環境は厳しい。

▼学校など公共施設設計プロポーザルで「内装には、地元産材の木材をふんだんに使い―」と木材のぬくもりや環境への配慮をうたった提案を行う業者も多い。そのため、それぞれの特徴を見出すことが難しく、地元産材を使うことが前提のように思えてしまう。

▼国は建設業が林業へ新規参入することを奨励している。この施策を、ただの減った仕事の穴埋めではなく、新規参入した業者が新しい風となって資源を競って取り合えるような素敵な産業となって欲しいものだ。政治、行政の積極的支援、さらに業界の進出が望まれるが。(新潟・YY)

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