コラム

2011/04/29

広がり続ける支援の輪(茨城・HS)

広がり続ける支援の輪

▼桜前線が北上を続けており、北海道でも例年通りなら5月上旬には開花する。通勤途中の茨城県庁の桜並木は例年通り爛漫の開花で、その下を歩く数分だけはすべてを忘れて見入ってしまう。もちろん、頭上に舞い落ちる花びらを振り払うこともしない。

▼震災からひと月半。この時間は長いようで短い。思い出すだけなら、なおのことあっという間だ。東日本では、先の見えない避難生活を余儀なくされている人たちが今でも10万人以上いる。本来なら地元の桜を何の憂いもなく愛でているはずが、史上稀に見る悲劇に現実が引き裂かれてしまった。

▼そうした人たちに何かできればと、方々で支援の動きが出てきている。芸能界では、演歌歌手の小林幸子さんが紅白歌合戦の時の装いを描いたド派手なトラックを引き連れて被災地入り、避難所に米やまんじゅうなどを届けた。そのた多くの芸能人が同様の活動で被災者を勇気づけている。

▼宅急便のヤマト運輸は、来年3月まで配達荷物1個につき10円の寄付を行うと発表。同社の昨年度実績は約13億個というから、総額は130億円にも上る見込みだ。こうした間接的なものを含めれば、支援の輪はこれからどこまでも広がっていくに違いない。

▼反面、自粛ムードも広がっている。被災者に配慮して花見やお祭りを控える動きがそれだ。そしてそれを「経済活動が停滞する」と批判する人もいる。しかし、これらはすべて被害の軽い第3者の言い分に過ぎない。悲しみを分かち合うこと、日本を復興すること、どちらも大切だ。結局、各自が今できることを考え、行動することこそが再生への一歩につながるのだろう(茨城・HS)

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