コラム

2011/04/19

その挑戦は逃避か本気か(東京・JI)

その挑戦は逃避か本気か

▼建設業の新分野進出は、以前から話題が尽きない。公共事業減少やダンピングで利益確保が難しいこともあり、新たな業務に挑戦する企業も多い。こうした企業の事例を紹介するイベントも開催されている。しかし、あまり成功例が聞こえてこないのが現実だ。

▼やはり課題はノウハウだろうか。本業である建設の知識・技術はあっても、新たな分野では素人同然。最初はうまくいかないのも至極当然。こうしたリスクを考慮して挑戦すべきか否かを判断する経営者の苦悩たるや相当なものだろう。

▼個人的な話だが、実は新分野進出で苦悩しているのである。サクソフォン演奏が趣味なのだが、最近になってドラムに強く惹かれている。自らの演奏技術の伸び悩みを認識しつつ「現実からの逃避」なのか、あるいは「本気と書いてマジ」なのか、ともかく太鼓とシンバルを叩きたい。

▼以前所属していたジャズバンドのドラム奏者は、常に「見せる・魅せる」を意識していた。叩き方も音も小気味良く、5年が過ぎた今でも忘れることができない。サクソフォンの恩師が亡くなった時の追悼コンサートにゲストで来たドラム奏者も恐ろしい顔でスピーディーにリズムを刻むスタイルが印象として残っている。そして頭の中で、彼らの演奏する姿に自分を重ねてしまうのである。

▼ギター15年に続いてサクソフォン15年という楽器生活。自分の人生を音楽的側面から考慮すると、実に悩ましい問題。新分野のドラムに挑戦するか、それとも「本業」のサックスに集中するか。企業のようなリスクはないのだから、少しぐらい手を出してみても良いのかもしれない。(東京・JI)

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