コラム

2011/04/21

封印してほしいフレーズ(東京・UT)

封印してほしいフレーズ

▼菅首相が同僚議員と共に国土交通省関東地方整備局を視察したのは、2008年5月15日。当時は民主党代表代行の肩書だった。世間を騒がせていた官僚のタクシー券問題の関係で乗り込み、同局職員と押し問答を繰り広げた。実際に現場に居合わせた複数の人物から話を聞くと、一行の振る舞いは強烈だったようだ。声を張り上げて職員を罵倒。テレビカメラが回っていない時はさらに酷く、あまりの剣幕に、泣き出してしまった女性もいたという。

▼東日本大震災の対応で、自衛隊、建設業者などと同様に、東北地方整備局職員の奮闘ぶりが伝えられている。仮に整備局が廃止されていたらと思うと、ゾッとする。県や市町村と整備局との役割分担はどうなっているのか。今後の災害対策のためにも、しっかり検証する必要がある。

▼3月28日に、東北建設業協会連合会と宮城県建設業協会は、自民党参議院議員の脇雅史氏、佐藤信秋氏を訪問した。その際、「指揮命令系統がバラバラなので、司令塔が一番必要」と訴えている。被災した当事者の言葉だけに、重みがある。

▼「二重行政」というフレーズを駆使して、整備局不要論をぶっていた方々は、圧倒的な現実を前にした今も、同じことを言えるのか。霞が関の本省ではなく、仙台に事務所を構え、日頃から東北地方のインフラを専門に、現地の目線で向き合っている組織は必要だろう。

▼民主党発のフレーズと言えば、何と言っても「コンクリートから人へ」だが、この言葉を今、被災地で言ったらどうなるだろう。この言葉に共感した方々には大いに反省してもらい、ぜひとも永久封印していただきたい。(東京・UT)

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