コラム

2011/05/10

愚痴と涙の効用(茨城・KK)

愚痴と涙の効用

▼久しぶりに再会した旧友と居酒屋に入った。アルコールの席ではお決まりの光景だが、震災の影響も手伝ってか、その夜はいつも以上に周囲から愚痴が聞こえてきた。仕事、家庭、人間関係…自分の思い通りにいくことよりも、うまくいかないことの多いのが世の常。ついつい愚痴が出るのも無理はない。

▼「ストレスを溜めないために愚痴は必要」―最近の医学的見解だが問題もある。職場、学校、近所などでは尾ひれがついて広まってしまう。愚痴を言いたい人はたくさんいるのに、聞きたい人はあまりいない。何より傍から見て、愚痴を言っている姿は美しくない。

▼『ノルウェイの森』(村上春樹著・講談社)を抜いて、日本国内小説歴代売上?1を記録した『世界の中心で、愛を叫ぶ』(片山恭一著・小学館)は主人公の泣くシーンから物語が始まる。この作品のほかにも、売れた小説やヒットした映画の多くは「泣ける作品」ではないだろうか。

▼涙には、うつ病に関係があるとされる血液中のマンガンや、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンなどを体外に排出する効能がある。また、泣くことで、ロイシンエンケファリンという脳をリラックスさせ、ストレス解消に効果のある物質が分泌される。「涙を流すと、スッキリする」というゆえんである。

▼「愚痴をこぼすな」「泣くな」―昔からよく言われてきた。特に年配者は抵抗があるだろう。しかし、体と同じように心の手入れも欠かせないのもまた事実。何かとストレスの多い現代社会、愚痴を聞いてもらえる信頼できる人を探したい。行き詰った時は、大いに泣くことも良いだろう。(茨城・KK)

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