コラム

2011/05/14

想定外を想定すること(新潟・SS)

想定外を想定すること

▼少し前のことになるが、計画停電が始まった頃、ネットを利用して記事やデータの入力をし、印刷機も電気がなければ動かないなかで、どうやって新聞を発行をするか考えさせられた。

▼電気やネットワークといった大規模に利用されるインフラは、盤石であることと低コストであることの両立が求められる。過度な想定外対策をとれば、その分コストに跳ね返る。大規模対策にコストをかけ、その分電気料が上がったとして、利用者に納得を得るのはなかなか厳しいのが現実では。

▼福島の原発をはじめ防波堤に関し、「想定外」という言葉が多く聞こえてくる。最初は苛立たしく感じたが、冷静に考えれば今回の大津波を「想定」して策を立てることは難しいことだった。自然の力は圧倒的に大きく、人間の予防策は、コストとの兼ね合いから一定の線引きが必要になるからだ。

▼甚大な津波の被害を受けた石巻市のHPには浸水地域が0・5m〜5m以上まで6段階に色分けされた津波ハザードマップが掲載されている。残念ながら今回の津波被害には全く意味を成さないほど狭い面積しか色づけされていない。色づけされたエリア以外に住む人は自分は安全だと思うのはしかたがない。

▼想定外の事象がおきたとき、その都市計画は間違っていたと言われる。安全に関しては想定外は無いと言いたいが、ハザードマップや都市計画は自然の威力を指し示すものでは無いので、想定外は必ず起こり得るのである。荒れ果てた海岸線や、連日つづく原子力の報道を見ながら、想定外の被害が広がった後どうするかを想定することも重要なのだと感じている。(新潟・SS)

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