コラム

2011/05/18

創造的に生まれ変わる(山梨・TT)

創造的に生まれ変わる

▼東日本を襲った大震災のニュースが2カ月たった今も途切れることが無い。主に被災した岩手、宮城、福島3県だけでも被害額は16〜25兆円とも見積もられている、未曾有の災害だ。

▼構造物を建て直す費用は、試算しやすいが、今回公表された被害額には東京電力福島第一原発の損失や放射能拡散による農産物に対する風評被害もある。さらに被災により経済活動が止まった被害、計画停電の影響による工場や店舗営業の短縮などを換算したら膨大な金額になるだろう。

▼先日TV番組で、国の補助金に頼らない?創意工夫の地域づくり?を実践している長野県栄村の取り組みを放送していた。補助金を受け全国一律の水準で整備を行うと、高規格で膨大な工事費のほか、将来的に維持管理費が重くのしかかる。これらの理由から、現場の状況や住民の意見を取り入れ、実態に合った総合設計を可能とし費用効果も高め、補助金の交付を受けなくても事業目標を達成しているとのことだ。

▼先月14日に東日本大震災からの復興ビジョンを策定する「復興構想会議」が開催され、菅直人首相は「ただ元に戻す復旧ではなく、創造的な復興ビジョンを示してほしい」と述べている。今後、復興費用をまかなうために予算の大幅な見直しや増税、新たな税の導入や補助金も多角的に検討されるだろうと思われる。

▼多くの自治体が、震災前から少子高齢化や財政の圧迫などに将来的な不安をだいていた。この機会に補助金や様々な制度を時代や実態にあった水準に見直し、与野党の壁を越えて、日本全体が創意工夫で創造的に生まれ変われるよう示して欲しいと願っている。(山梨・TT)

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