コラム

2011/05/19

仕組みの維持補修(東京・HM)

仕組みの維持補修

▼ボクシングで世界チャンピオンを認定している団体は、WBA、WBC、IBF、WBOの4つがメジャーと言われる。日本のコミッショナーであるJBCは、このうちWBAとWBCの2つしか認めていない。IBFとWBOが格下という訳ではなく、チャンピオンの安売りを恐れているのだ。

▼認める団体が増えれば、国内で行われる世界戦の数も増える。ボクサーにとってはチャンスが広がり、チャンピオンも増えるだろう。見る側もやる側もいいことだらけのようだが、そこが落とし穴。量産されるチャンピオンは、質の低下を意味し、それは格の下落にもつながる。数少ない王座の椅子を奪い合ってこその価値がある。

▼しかし近年のボクシング人気の低迷も何とかしなければならない。IBF、WBOを認めることでのメリットも大きい。そこでJBCではチャンピオン同士の統一戦に限って認定することを決めた。これは大きな一歩だ。しかし変更はそれだけではなかった。

▼最近、やたらと暫定チャンピオンをつくり「チャンピオンの安売り」を続けるWBAを問題視する声が多い。JBCは、この暫定王座についてJBCが正当と認めた場合しか認定しないとした。やや消極的だが、一方を緩め一方を締める柔軟でいい対応だと思う。

▼仕組みというものは、できたときに問題がなくても、各種のインフラと同じで状況に応じ絶えず維持補修を続けることが必要である。JBCの決定は現状にマッチした形への軌道修正と思える。制度改正で新たに開いた扉を通り、日本初の統一世界チャンピオンが生まれることに期待したいところである。(東京・HM)

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