コラム

2011/06/07

データと伝聞を活かす(茨城・KK)

データと伝聞を活かす

▼「今後30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が発生する可能性は87%」―文部科学省・地震調査研究本部の評価を受け、菅直人首相は、中部電力浜岡原子力発電所の原子炉の運転中止を要請した。「原発への不安を意識した英断」との一方「あまりに唐突な発表」と戸惑いや不安の声が上がったのもまた事実。

▼気象庁や防災科学技術研究所の研究者、地震学の専門家などの研究、シュミレーションの結果、今後発生すると予想されるM8以上の巨大地震は、宮城県沖、東海・東南海・南海、十勝沖、千島海溝の各ブロック…。発生時期も今世紀前半、今後5〜10年の間、1、2年のうち…とさまざまな予測が出た。総論として、いつ、どこで起きても不思議ではないということだろう。

▼今回の東日本大震災。大地震とそれにともなう大津波で、自然の脅威に慄然とすると同時に、鉄骨・鉄筋コンクリート建造物、防波堤・防潮堤など人工の構造物がいとも簡単に破壊されたことにやりきれなさを感じた。

▼壊滅的被害を受けた市街地に比べ、背後の神社仏閣は軽微な損傷で済んだという。青森・岩手・宮城の3県には1611年の慶長三陸津波をはじめとする津波の犠牲者を供養した316基の石碑が建っている。神社や寺はそれらの教訓を活かして、安全な場所に建立されたという。

▼「『掛』、『影』のつくところは地崩れが『滝』つくところは土石流が出る」―地名には危険を予知する由来が刻まれている。科学技術万能、データ分析全盛の時代だが、長い年月を経た、いにしえからの言い伝え、伝聞もまた、被害回避に活かせるのではないだろうか。(茨城・KK)

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