コラム

2011/06/09

問題の是々非々を見極める(埼玉・YW)

問題の是々非々を見極める

▼今に至っても「原子力は安全です」と力説する学者を、テレビ局は連日出演させている。原子力発電所から20キロ圏内の警戒区域に指定され、一方的に避難所での生活を余儀なくされている福島県民の心情を枠外において、安全性を洗脳する意図が理解できない。

▼江戸時代に三文新聞という言葉があったらしい。現在の貨幣価値に直すといくらになるか分からないが、「3文出すからスポンサーの言うように書いて欲しい」ことを指すそうだ。無論、現代にも通用することだが、御用学者とはいえ、魂を売る行為は決してほめられる行為ではあるまい。

▼また、原子力エネルギー関係の大学教授は三文学者と巷では批判されているそうな。無論、一部のスポンサーの声を受けて御用学者だけを取り上げる商業テレビも三文テレビ局だと揶揄される。なぜそうなったのか、某紙によれば小泉改革が発端としている。国立大学の独立行政法人化に伴い、研究費用を国ではなく自前で集め運営すると、有力OBが多い旧七帝大プラスアルファしか大学が成り立たなくなったのが、その理由とのこと。

▼これでは御用学者は研究費の基となるスポンサーの批判はできまい。政治献金を見れば一目瞭然の政治家も同じこと。ちょうちん部分も必要だが、見て見ぬふりは黙認となり、仮に悪しき部分の見ぬふりは悪しき部分を了とした、と一般市民からは誤解されよう。

▼弊紙は、たかが専門紙、されど専門紙である。ジャーナリズムの根源は変わりない。安易に魂など売れるものではない。今日求められるのは、問題の是々非々、真実のみを見ようとする魂ではないだろうか。(埼玉・YW)

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