コラム

2011/06/14

前へと進むために(茨城・HS)

前へと進むために

▼関東地方は例年より17日早い梅雨入り。そして今年の夏は気温はどうなのか。まだ気の早い話だが、昨年が記録的な猛暑だっただけに、今から心配の種でもある。既にその兆しがチラホラだが。

▼早いもので、あの悪夢から3月が過ぎた。福島第1原発の警戒区域で一時帰宅が実施されるなど、少しずつではあるが着実に復興の兆しが見えてきた。それでも、いつになったら震災前と同じ生活に戻れるのかは不透明だ。故郷に帰り、懐かしい風景を眺めることができるのは、1世帯あたり原則1人。子供や高齢者の帰宅は一体いつになるのだろうか。

▼そんな中、被災地の岩手県で嬉しいニュースが誕生した。中尊寺の金色堂などで知られる平泉の文化遺産が、東京都の小笠原諸島ともども、ユネスコの世界遺産に登録される見通しとなった。内陸の平泉は津波の被害を逃れ、遺跡群もなんとか無事だったようだ。3年前には登録が見送られた経緯があり、地元の人々の喜びもひとしおだろう。

▼政府は被災地への支援策の1つとして、東北道などの高速道路無料化の検討を表明した。平泉はインターチェンジからも近く、実現されれば観光客の増加が期待される。人や物の動きが活発になればそれだけ復興も早くなるに違いない。ぜひとも実現にこぎつけてほしいものだ。

▼大畠国交大臣は常磐道や三陸道の建設前倒しを示唆している。財源は厳しいが、復興に必要なことはどんなことでもやって欲しいというのが被災者の心情だろう。今となっては「コンクリートから人へ」も昔話となった。前言を潔く撤回しても、今は英断として拍手喝采を浴びるに違いない。(茨城・HS)

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