コラム

2011/06/15

ステータスよりメリット(群馬・HI)

ステータスよりメリット

▼4月から6月にかけて、多くの建設業関連団体は定期総会を開いた。本年度の総会は、東日本大震災後の開催ということもあり、ほぼすべての団体トップが主催者あいさつでその話題に触れ、協会員・組合員が一致団結してこの難局を乗り越えていこうという声が各地の会場で聞こえた。

▼総会における注目の議案と言えば役員改選。通常2年任期で行われる。新任の際、トップの人選は、所属する会社の規模、売上高や社員数が会員の中で自他共に認めるトップクラスであることや、本社が県庁所在地またはそれに次ぐ都市にあること―などから選出することが多かった。

▼しかし近年は、よほどのオーナー団体でない限り、会社の規模や所在地だけでトップに就くことはできない。各団体とも会員数の減少という共通の課題はあるが、業種や地域など団体固有の課題も抱える。単純なトップダウン手法では解決できず、トップが率先して企画して旗を振る「行動型」が求められている。そういった意味からも、トップの人選は「会社重視」から「人物重視」に移ったように思う。

▼今年の総会で新任されたある団体のトップは、慣れない就任あいさつを終えると、早々に中座し、外の応接ソファーに腰を下ろしタバコに火をつけ、大きく一息つくと「会員がなかなか一つにまとまらないんだ」とつぶやいた。

▼多くの会員は所属する団体に対し、ステータスよりもメリットを求める。会員の数だけ思惑があり、それが複雑に絡み合う。組織を効果的に動かすにはリーダーシップとともに会員の協力は欠かせない。新任・再任を問わず、トップの悩みは深い。(群馬・HI)

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