コラム

2011/06/18

政治家のメッセージ(新潟・KK)

政治家のメッセージ

▼アメリカの雑誌『タイム』が発表した「世界で最も影響力がある100人」の2011年版では2人の日本人が選ばれたが、そのうちの1人が福島県南相馬市長の桜井勝延氏。東日本大震災で被災した南相馬市の一部が福島第一原発の20?圏内警戒区域に入るため、多くの市民は現在も県外等への避難を余儀なくされている。

▼政府の原発対応への不満や被災直後から支援物資等が入ってこない窮状を訴え、自らインターネットの動画サイト上で支援を求めた桜井市長のメッセージが世界中に伝わったことが選出の理由。ただし桜井市長は市の現状と生の声を伝えただけで、「選ばれるべきは南相馬市民」との考えを述べている。

▼南相馬市民の多くが新潟県に避難している関係から、桜井市長は新潟県内各所を回り、避難者を励ますとともに、受け入れ自治体へ感謝の意を表しながら支援を要請。また泉田裕彦新潟県知事と面会した際には、知事から3月16日の朝に直接電話で「南相馬市民全員を受け入れる」と伝えられたことを明らかにした。

▼この言葉を受けた桜井市長は「本当に救われた思いで、政治家が希望あるメッセージを出すというのは、こういうことなんだと改めて感じた」という。

▼その後も桜井市長は、市民の生活再建を図るため、混迷が続く政治や東京電力の対応の不手際等に対してメッセージを出し続けており、市民のために奮闘している様子が伝わってくる。「政治家は言葉が命」と言われるが、有事の際には平時には分からなかった政治家の本質が見えてくる。果たして大切な一票を投じるに値する政治家が身近にどれだけいるのだろうか。(新潟・KK)

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