コラム

2011/07/09

町村合併が終わって(山梨・TH)

町村合併が終わって

▼「合併」とは、二つ以上のもの、特に組織などが一つに合わさること。また合わせること。筆者は最近、この言葉に過敏になっている。例えば町村合併もその一つ。町村合併とは、二つ以上の町村の区域の全部または一部を統合して新たな市町村としたり、町村の区域の全部または一部を他の市町村に編入すること。

▼1995年に改正された市町村合併特例法による再編成は、全国に渡る大規模なものとなった。「平成の大合併」と呼ばれ、山梨県でも旧合併特例法や合併新法などを適用し、1999年3月末に64あった市町村は2011年6月末現在で27にまで減少している。

▼全国的に合併を巡っては「本当に良かった」という人もいれば反対に思う人もいる。まさに賛否が分かれる問題。どこの自治体を見てもメリットに挙げられるのは利便性の向上、行政サービス、基盤整備の促進。デメリットは、公共施設が遠くなり不便、住民の声が届かない、行政サービスの低下が多い。

▼このうち特に問題となっているのが「合併特例債」。同債は、交付税の措置があっても100%の支援ではなく、3分の1は合併後の市町村の借金として残る。大きな事業ほど借金が増える。仮に大規模な公共施設を建設すれば維持管理費が膨大となり、財政圧迫の要因と言われ続けている。

▼合併には様々な問題や課題もあるが筆者は、合併することで市町村名が変わってしまうことが多く、これが一番寂しい。合併後に生まれてきた世代は、旧町村名自体を知らないし、当然忘れ去られるだろう。地域の歴史、文化や伝統までもが失われてしまわないよう、注意することが肝要では。(山梨・TH)

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