コラム

2011/08/05

営業利益率わずか1.1%(茨城・MK)

営業利益率わずか1・1%

▼国土交通省がこのほどまとめた「建設産業の再生と発展のための方策2011」は興味深い。方策に記されている建設産業の現状を読むと、あらためて厳しさがうかがえる。

▼一番驚いたのは、総合評価の技術提案やその審査に掛かる「コスト」は、予定価格の7・1%分にもなるというもの。予定価格が1000万円だとすれば、そのうち71万円に相当する。受注希望者は多数の技術提案を行うためのコストが、また発注者は提出された多くの提案を審査しなければならないコストが掛かっている。方策では、これらのコストが最終的に国民負担の増加につながる恐れがあると危惧している。

▼その一方で、建設業者の営業利益率は09年度平均で1・1%しかないというデータもある(財務省の「法人企業統計」から)。営業利益率は、売り上げから原価や販売費、管理費を引いた割合。本業の損益を表すものだ。例えば売り上げが1000万円あっても、1・1%ならば利益は11万円しかない。1992年の建設投資のピーク時には3・8%はあった。それが3分の1以下である。ちなみに全産業の09年度の営業利益率は2・0%だ。

▼これら以外にも、地域のインフラ維持管理を行える建設業者が減ってきていること、建設労働者の賃金も継続的に減少し製造業を下回る水準であることなど、多くの難題が示されている。

▼これらの課題に対応するための方策としては、地域維持型契約方式の導入、保険未加入企業の排除、不良不適格業者の排除などが列挙されている。山積する課題が早期にかつ抜本的に解消できるよう、関係者の尽力に期待したい。(茨城・MK)

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