コラム

2011/08/12

4車線を2車線に(埼玉・HS)

4車線を2車線化に

▼1945年8月14日の夜、埼玉県熊谷市はB29爆撃機による空襲を受けた。市街地の74%が焼失し、266人が死亡。市の中心部を流れる星川では毎年8月14日に、犠牲者を供養する灯篭流しが行なわれる。どんなに時が流れても、空襲の事実を風化させてはならない。

▼その熊谷市で4車線の道路を2車線にする、全国でも例の無い取組みが進行している。国道17号のJR熊谷駅付近の約2・6?は4車線道路で、1945年の空襲からの復興事業で整備された。2車線化の背景には、バリアフリー、自転車の走行環境、景観整備の三位一体となった整備計画を検討するもので、委員会を組織して進められている。

▼近年の熊谷駅周辺は、市街地を迂回する「熊谷バイパス」が整備され、国道17号の交通量は落ち着いている。その反面、熊谷女子高校や熊谷高校の生徒などの自転車利用者の増加、さらに、車椅子利用者や視覚障害者へのバリアフリー施設整備は必要に迫られ、同時に歩道橋を撤去した自転車・歩行者道整備も課題となっている。

▼関東地方整備局大宮国道事務所が事務局の「熊谷市道路空間整備推進委員会」は2009年の設立から、既に6回目の会合を重ね、検討も大詰めを迎えている。正式な整備計画は今年度末にまとめられるが、当面の短期整備として歩行者と自転車を分離させ、将来の中長期整備で2車線化させるようだ。

▼日本一暑い街、熊谷にまた夏が来た。過去の空襲の副産物を現在の生活スタイルに転用するのは、そこで生活する住民自身が判断すべきだ。2車線化の議論に、一人でも多くの参加を期待して止まない。(埼玉・HS)

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