コラム

2011/08/23

ペットブームの影(茨城・KS)

ペットブームの影

▼CM、ドラマ、映画で犬を筆頭に動物の活躍が目覚ましい昨今である。一昔前のチワワブームから?ブサかわ(不細工でかわいい)?のわさおくんや、終了後もなお人気加熱のドラマ「マルモのおきて」のムックくん、携帯電話のCMでお父さん役を好演するカイくんなど、もはや犬を見ない日はない。2005年の厚生労働省がまとめた犬登録件数は約648万頭にも上り、以降も増え続けているという。

▼しかしその一方で、人間のエゴによって処分されるペットたちが増加しているのも事実だ。その数は実に1日200頭以上。処分という名の殺害が日々実行されていると思うといたたまれない。

▼こんな耳を疑う話もある。最近、保健所には前述したカイくんに似た白い犬が多く持ち込まれる。理由は「日本語をしゃべらなかったから」。保健所はジレンマに苦しむ。メディアが動物愛護の啓発のため報道すると、今度は「なぜ殺すのか」といったクレームが止まらなくなり、業務に支障をきたしてしまうという。

▼犬は大昔から人間のパートナーとして、狩りを共にし、互いに支えあって生きてきた。イラク戦争で家宅捜索活動などに従事したメスのジャーマンシェパードのジーナは、任務を終え帰国するもPTSD(心理的外傷後ストレス障害)を患った。彼女が飼育係の兵士と並んでうなだれている報道写真は、とてつもない悲愴感で溢れていて、強烈に脳裏に焼き付いている。

▼ペットは愛玩動物というが、物ではない。人間と同じく生命体であり、心があり、ストレスを感じるということを忘れてはならない。大切なことを見失ってはいないだろうか。(茨城・KS)

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