コラム

2011/08/25

受益者理解を得る苦労も(新潟・HT)

受益者理解を得る苦労も

▼ある工事の現場代理人は「この工事での一番の難所は」という問いに対し「地元との工事の調整」だと語る。その工事は、最も人通りの多い駅前の中心市街地に高架歩道橋を架けるものである。工程には夜間に交差点を全面通行止めにし、約30t級の橋桁を架設する工事も含まれる。しかし、その現場代理人は、工事への理解を得るため、周辺の住民や警察、道路管理者などと協議を重ねた、いわば、施工前の準備段階を挙げた。そして「その調整に時間をかけた」と語る。

▼基礎工事はさらに問題だ。工事で発生する騒音や振動は技術の進歩により、低減されることはあっても、無くなることは考えにくい。大型の工事であれば、なおさら避けられない。

▼その中で、人に迷惑をかけない工事ではなく、人に理解してもらう工事を行うため、基礎工事の前段階から既に、さらに基礎の部分を固めていたのである。

▼人のために行う公共工事であるが、誰にも迷惑をかけないで行える工事は少ない。街中の工事であれば、地元住民や町内会と協議を重ねる。たとえ人里はなれた現場であっても田畑があれば、地権者や土地改良区と、川が流れれば、水利権者や漁業組合の理解を得るといった調整を行なっている。技術力をもった大手ゼネコンから地元業者まで、この工程を省くことはできない。

▼施工技術の進歩は日々進化するが、この基礎となる行為は、変わることは無いのだろう。多くの建物が立ち並ぶ現代は、常に人の理解と合意の上に立っている。そして、そのさらに下には、合意と理解を得るため、尽力した人がいることを忘れてはけないだろう。(新潟・HT)

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