コラム

2011/09/13

揺るぎない信念(茨城・KS)

揺るぎない信念

▼首尾一貫、初志貫徹、徹頭徹尾…。頑固な堅物と思われるかもしれないが、世の中の多様性を認めた上で、己を見つめ、己を知り、誘惑に屈することなく揺るぎない信念を持ち続けることはすばらしい。

▼揺るぎない信念といえば、宮城県石巻市の夕刊紙、「石巻日日(ひび)新聞」を思い起こす。震災で電気はもちろん、印刷機器も壊滅し、移動、通信手段も確保できない中で、地震発生の翌日からフェルトペンで手書きの壁新聞を発行。避難所5カ所とコンビニ1カ所に掲示した。大手メディアの被災者の心をえぐるような報道に批判が出た中、同紙は大きく感謝され地元民を救った。

▼制作者らも、もちろん被災者である。命からがら危機から逃れて、家族と連絡が取れないにもかかわらず、即座に新聞制作に従事した。一体何がそうさせたのか。彼らの原動力は「地元のために」という強い信念にほかならなかった。

▼また、避難所となっている同じ宮城県の気仙沼小学校で、小・中学生らが創刊した「ファイト新聞」もたくましい。編集方針は「明るい話題のみ書くこと。暗い話題を書いたら紙を破る」。その信念は、多くの被災者に偉大な生きる力を与えたに違いない。

▼大手メディアの市場原理主義とは大きく異なる、使命感に溢れた信念がこの2紙にはある。最近、揶揄(やゆ)されているテレビの偏重放送問題。お金次第で、のらりくらりと態度を変え、公の電波を使ってあたかもブームかのように仕立て上げるようなことはあってはならない。全国規模なだけに洗脳活動のようで恐ろしい。何のためのメディアなのか。信念が問われている。(茨城・KS)

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