コラム

2011/10/07

鍵を握るベトナム人(茨城・HN)

鍵を握るベトナム人

▼広域関東圏建設関連協同組合などの団体が進めるベトナム人技能実習生受入事業を取材した。研修所を訪ねると、ベトナム人5人が、講師の呼びかけに、たどたどしくも力強く日本語で応えている。

▼日本に入国した彼らは1カ月の研修を終え、2年10カ月間、日本企業に実習生として配属される。取材した時は、もうすぐ研修を終える時期。「彼らは日本を夢見て1年間、さまざまな試練を乗り越えて来ている」と組合の田中嗣人代表理事。高度経済成長期のハングリー精神を持つ彼らの配属が、「同じ職場で働く若手の刺激になれば」と期待する。

▼教育の現場では、今回の震災の怖さを子供達に学んでもらおうという気運。先般、防災の日で小学校の避難訓練に伺うと、昼休み時間に訓練の緊急放送が。生徒が散らばっている時間で訓練し、より現実に即した状況で生徒の判断能力を育てるねらいだ。ただ、避難場所に迷った生徒もおり、校長は「もっとたくましくなってほしい」と話す。

▼今、日本のゼネコン企業が海外で苦戦している。ベトナムで大手ゼネコンの工事現場を視察した田中代表理事は、労働者の質の悪さに頭を抱える状況を目の当たりにしたという。アルジェリアでも、道路建設を受注している日本のゼネコンがベトナム人を労働者に考えたそうだが、すでに中国や韓国企業の手に…。結果、そのゼネコンでは巨額損失が見込まれる。

▼これからの日本企業が海外進出し成功するためには、彼らのような優秀な人材の獲得が欠かせなくなるだろう。そして日本の若者、ひいては幼い子供達が、彼らの勤勉さを学ぶことで内需拡大の好機が見えてくる。(茨城・HN)

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