コラム

2011/10/19

自然を味わい尽くす(東京・JI)

自然を味わい尽くす

▼小学3年生の息子が、2泊3日の自然体験教室から帰ってきた。カレーライスを作ったり、イナゴや野草の天ぷらを揚げたり、暑い中でハイキングをしたり、真夜中の森を懐中電灯だけで散歩したりしたという。テントも張らず、ビニールシートの上で寝袋に入り星を見ながら眠ったらしい。日常を離れた生活を満喫したようだ。

▼若いころ、筆者もキャンプには友人たちと何度も行った。蚊に刺され、雨に降られ、暑くて眠れなかったり、魚を釣れなかったり、自転車で転げたりと、ロクな思い出がない。しかし、自然と触れ合うことの楽しさや難しさを知ることは十分できた。

▼東日本大震災で多くの人々の命を奪った津波のように、自然は時に恐ろしい顔を見せる。河川洪水、土砂崩れ、台風なども代表的な例だろう。地域によっては雪崩もある。また今夏に多くの人を苦しめた猛暑も恐怖の一つだ。今年5月末から9月中旬までに、4万人超が熱中症で救急搬送されている。

▼それでも我々は限りない自然にあこがれ、自然を求めることを止めない。海水浴やサーフィン、登山、スキーなど海や山とたわむれることに喜びを見いだす人は多い。その雄大なスケールに魅せられ、立ち向かい、味わい尽くす。難しくも実に楽しい時間である。

▼自然は美しく、かつ厳しい。息子は身を持って感じたことだろう。来年も絶対に参加したいと話す彼に、3日間で一番危険を感じたのは何かと聞くと「包丁」と答えが返ってきた。なるほど、確かに刃物は取り扱い注意だ。一歩間違えば大ケガをする可能性もある。しかし息子よ、君は本当に自然を体験してきたのか。(東京・JI)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら