コラム

2011/11/09

森林環境税を考える(山梨・TH)

森林環境税を考える

▼今年9月の山梨県定例県議会で「森林及び環境保全に係る県民税の特例に関する条例案」と「森林環境保全基金条例案」が提出された。来年の2月議会には税活用事業予算案を提案し、来年4月には制度がスタートする見込みだ。

▼山梨県は、県土の78%を占める全国有数の森林県。全国でも森林率は第5位と非常に高い。二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防止するなど極めて重要な役割を果たす森林だが、近年では社会経済環境の変化に伴い、民有林の多くは手入れが行き届いていない。

▼そのため山梨県でもここ数年、「環境と森づくりを考える税制懇話会」が開かれ、森林保全の必要性や税の使途などの討論が交わされた。森林環境税は、既存の県民性均等割りに上乗せし徴収する「県民税均等割超過課税方式」に決まった。個人年額は500円程度。施行後5年をメドとし、事業効果や森林を取り巻く状況を見極めた上で、制度点検し見直す。

▼山梨県の森林は県外下流域の水源となっているため、神奈川県とは「水源環境保全再生連絡協議会」を設置。2012年度から5年間で総額3億6500万円を神奈川県に負担してもらう。

▼森林環境税は全国でも多くの県で導入し、選考実施の県も31県となった。山梨県では既存の税収と明確に区分する仕組みづくりが必要であることから、新たに「森林環境保全基金」を設置、税収相当額を積立て、財源に充てる。来年4月からスタートすると見られる森林環境税。しかし県民に浸透しておらず、周知方法が今後の課題だ。税の事業効果検証や制度の透明性を明確にしないと、今後大きな問題が浮上するだろう。(山梨・TH)

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