コラム

2011/11/10

発注者の改革も必須(長野・EM)

発注者の改革も必須

▼昨今は価格だけによらない総合評価方式が普及し、請け負った仕事の善し悪しがこれまで以上に次回以降の受注競争に影響を及ぼすようになった。良い仕事が報われるのは至極当然だが、許可業者49万余、そのすべてが納得とはいかないのもまた必然だろう。

▼成績評定の重みが増す中で、監督員の心証を損なわないよう、理不尽な事を甘んじて受け入れることもしばしばだとか。いわゆる請け負け体質である。かくして業界団体と行政の意見交換の場では、よどみを一掃するがごとく技術者の日ごろの苦悩が語られ、改善が求められることになる。

▼設計と現場の不整合や協議未了での発注など、発注者の怠慢と思われる問題を指摘する声も多い。「設計成果が全く使いものにならなかった。本当に現地を確認していたのか」「特記仕様書には協議中とあったが実際は行われておらず、受注後に自ら関係機関や住民との折衝に奔走した」「設計変更の手続きにあまりにも時間がかかる」

▼先ごろ傍聴した会合で、団体はそうした実例を示した上で発注者の慢性的な人手不足を懸念した。「監督員は多くの現場を掛け持ち、さぞ大変だと思う。多忙を極める中、結果としてほころびが出たり、施工者任せになってしまうのではないか」と。

▼「事なかれ主義」「税金泥棒」などと辛らつな言葉を引用しながら人員削減をあおる風潮。公務員に対する風当たりの強さは、かつての業界に負けずとも劣らない。発注者の疲弊が受注者の負担となり、公共事業を進めるサイクル全体が歪んでいく。「お互いイメージアップが必要ですな」と一笑には伏せない。(長野・EM)

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