コラム

2011/11/11

セルフケアから相互ケアへ(茨城・KK)

セルフケアから相互ケアへ

▼心の健康、働く人のメンタルヘルスの大切さが叫ばれて久しい。しかし状況は悪化の一途。会社員で〈ルビ〉鬱〈うつ/ルビ〉になって休職する人はここ10年間で2倍になっている。学校の先生の場合はさらに深刻で3倍増という。休職者は全体の約1%と言われるが、そこまでいかなくとも、時々休み、フラフラになりながら、かろうじて勤めている人は何倍、何十倍いることだろう。

▼茨城県の建設会社の安全大会で、茨城カウンセリングセンターの大築明生氏が『職場のメンタルヘルス〜助け合うまなざしと方法〜』と題し講演。「安心して相談できるような雰囲気を職場に作ることが大切とよく言われるが、はたしてどうか?」と大築氏。

▼厳しい社会情勢下、多くの企業が一から人を育てる余裕がない。新人や、新しい部署に異動して来た社員に「即戦力だ。すぐ結果を出せ」と求めがちだ。「聞きに行っても、まともに教えてもらえない」そんな不満から追い詰められていく社員が多い。

▼社員はアドバイスを求めているわけではない。「話をしっかり聴いてほしい」「自分を理解してほしい」のだと大築氏は訴える。われわれも後輩の相談を、仕事をしながら、面倒くさそうな顔で、聞き流してはいないだろうか。「今日はこの書類があるから聴けないんだ。○月○日の○時からなら聴くよ」と約束すべきだろう。

▼大築氏は、限界を超えた疲れやストレスを回避する「セルフケア」に加えて、相手を「わかろうとする存在であり続ける「相互ケア」の重要性を提唱する。「救われるということは、人間としての存在が認められるということである(仏教思想家・金子大栄)」から。 (茨城・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら