コラム

2011/11/16

昆虫標本教室に参加して(東京・JI)

昆虫標本教室に参加して

▼某大学で開かれた子ども向け昆虫標本教室に、愚息と出かけた。その大学は駅から5分という好立地でありながら、森の中にキャンパスがある。イベントは、森に住む生物を探したり、学内の標本館を見学したりするというものなので、これは面白そうだと、告知を見てすぐに申し込んだ。

▼当日は小雨だったが、親子20組が参加した。集合場所の駅から大学までの小道では、大きなヒキガエル2匹に遭遇。不気味な姿だったが、参加者の我々はさらなる自然との触れ合いに期待を膨らませて学内に入っていった。

▼「自然を学ぶ」というテーマは、東日本大震災の被災地でも重要視されている。地域復興も考慮した国立公園の整備構想では、防災性はもちろん生物多様性も必要な要素に掲げる。災害廃棄物を活用して丘を整備し、住民参加で森づくりを行うという。

▼この公園や丘は、自然とのふれあいや津波経験を学ぶ場として整備されるとともに、緊急避難場所にもなるようだ。災害の記憶は時が経つにつれて風化し、そして同じ悲劇を繰り返す可能性がある。復興のシンボルとして整備される公園や丘が、その風化を食い止める存在になってほしい。

▼さて、イベントに参加した我々は自然を学べたのだろうか。雨のため森の散策は中止。標本館は殺菌中で入館禁止。スライド写真による説明はパソコン故障で中止。大人でも難しい「標本の重要性」の講義を受け、セミやハチの標本の一部を見て終了した。息子は「ヒキガエルがいたこと」が面白かったという。参加費は500円と安かったが、我々はいったい何に対して金を払ったのだろうか。(東京・JI)

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