コラム

2011/12/03

そもそも論で公共事業を(東京・HM)

そもそも論で公共事業を

▼「そもそも論」という言葉が最近耳につく。「そもそも」でもいいのではないかとも思う。意味をインターネットで調べてみると、一度根本を見直してみようという前向きなニュアンスを紹介しているページもあれば、議題の根底の部分を否定することで、話し合い自体の意味を薄れさせる論法という、やや批判的な意味を持つ場合もあるようだ。

▼先日、超党派議員からなる公共調達研究会が国土交通省に品確法の改正を求めた。内容は予定価格の上限拘束性の見直し。海外では事例がある方法で、一定の効果もあるようだ。

▼取材を終えた帰り道。他紙の記者とこの件で雑談した。今の建設業界の状況で、単純に上限だけ外してもそれで落札率が下がるとは思えないという意見が多い。そして、こういった話題の時に、いつも行きつく先は、「結局、事業量が少ないのが根本の問題では」―と。最もシンプルで効果的なダンピング対策は、事業量を増やすことに尽きるのかもしれない。

▼それを言っても始まらないことは分かっているし、現況をベースにできる対策をしようというのが議員たちの思い。国土交通省としてもダンピング対策を大きな課題として向き合っている。誰もが今の状況を何とかしたいと思っている。

▼頭の隅からどうしても離れない想いがある。「そもそも論」として何故、これほど事業量を急激に下げなければならなかったのか。財政悪化の原因と言われたが、公共事業費を減らして財政は改善したのか。今一度、前提を見直す必要もあるのではないか。前向きと批判的な両方の意味を込めて、あえて「そもそも論」で指摘してみた。(東京・HM)

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