コラム

2012/01/06

自分の龍を育てる年に(東京・HM)

自分の龍を育てる年に

▼辰年の辰は、本来は龍という意味ではなかったらしい。辰の源字は、「震」や「振」という意味。これが辰になった時は、草木が成長して整った様子という意味になったらしい。それが十二支を広める際に分かりやすいように「龍」の姿を与えたらしい。なぜ龍だったのかはよく分かっていない。

▼十二支のうち唯一の伝説上の動物。嵐を呼び、空を飛翔する龍の姿を国旗の中央に抱く国、ブータンからワンチュク国王夫妻が昨年来日した。若い国王と美しい王妃。当初、興味本位で見ていた人の中にも、国王が話すストレートな励ましの言葉に心打たれた人も多いのではないだろうか。筆者もその1人だ。

▼その国王が、福島県内の小学校で龍について話した。国王は、子ども達に自分たちの心の中にいる龍を育てるように、人格という名の龍を大きく、強くするように呼びかけた。

▼東日本大震災を契機に日本は大きく変わろうとしている。しかし、それは受動的なものではなく、国民一人ひとりが自発的に変えていくべきものだ。国民全員が一度、日本と自分のことを真剣に考える時期。それが龍を育てるということではないだろうか。日本列島はその形状から龍に例えられることがある。自分の龍を育てることが、日本という傷ついた大きな龍をたくましく再生することにつながる。

▼「震」から「整う」に進化した辰という文字。震災被害を受けたが、そこから立ち直り、また成長し、都市として整っていくという意味と解釈しよう。辰年が文字どおりの年になるように、いや、するように自分にできることを、少しずつでも取り組む1年にしたいと思っている。(東京・HM)

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