コラム

2012/01/21

「今年こそ」の実現を(東京・HM)

「今年こそ」の実現を

▼お正月の楽しみの1つに年賀状がある。年賀状のやりとりだけの友人も多く、そういった年賀状には「今年こそ会おう」といった言葉をよく添える。向こうから来るものにも「今年こそ」の言葉が多く見られる。

▼そんな友人の1人からきた年賀状。龍の絵の横に自筆で「今年もよろしく」と書いてあった。昨年、一度も会ってなく、電話もメールもしていない。何をどう「よろしく」なのか。高校生の頃から、面倒くさがり屋な性格だった。何か一言ぐらい書きたいが、特に書くことも思いつかず、「これでいいや」と言っている友人の顔が浮かび楽しかった。

▼印象に残ったので、およそ10年ぶりにその友人に電話をかけてみた。電話口の声は昔のまま。話してみると職場が近いことが分かり、近日中に会おうという話になった。電話の切り際、「今年もよろしく」は変だよ、と言うと、何年も今年こそと書くのが空手形を切っているようで嫌だったが、ほかに思いつかなかったからそう書いたと言う。筆者の予想は、半分は当たっていたようだ。

▼東日本大震災をはじめ、昨年は多くの災害に見舞われた。次々に入る災害のニュース。計画停電の中、真っ暗な街を歩いた。心が晴れない1年だった。被災地を中心に日本全国でさまざまな「今年こそ」が叫ばれている。

▼「空手形」を嫌った友人のぶっきらぼうな言葉から、逆に筆者のささやかな「今年こそ」は実現した。自分の願っていることがかなうのは、大小問わず嬉しいことである。「今年こそ」日本人の底力を発揮し、多くの人の多くの「今年こそ」を実現する年にしなければならない。(東京・HM)

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