コラム

2012/01/23

TPPの脅威を考える(茨城・HN)

TPPの脅威を考える


▼「PPTだか、TTPだか知らんけど…」。正月のバラエティ番組で、TPP(環太平洋戦略的経

済連携協定)をネタにお笑い芸人が漫才を繰り広げていた。漫才に使われるくらい、国民の関心事に

なっているということだろうが、この話題では笑えない。


▼TPPは、加盟国間で関税を撤廃し、公共事業や知的財産権などの関税障壁を撤廃し自由化する協

定。締結国の企業は、自由に加盟国間の仕事にあやかることができる。輸出面でメリットがあるよう

に見えるが、日本にとっての輸出依存度は約2割。残り8割の市場がアメリカなどに狙われる可能性

がある。TPPは農業の話題が中心だが、建設業も他人事ではない。


▼現在、WTO(世界貿易機関)の協定で地方自治体23億円(国の機関6億9000万円)以上の公共工事入札は外国企業も参入できる。だが設定金額の高い基準などがネックとなり参加は少ない。ところがTPPでは、この23億円ラインが撤廃され限度額が大きく下がる。TPP参加国が実際に日本に営業所を設け、参入してきた場合、建設業界が混乱することは想像に難くない。


▼さらに、経営事項審査や自治体による格付などの撤廃、条件付一般競争入札もできなくなる可能性

がある。地域活性化の観点から地元業者を対象に入札する―。そんな論理も日本固有の規制とされ、

アメリカに受け入れられない公算が大きい。


▼震災で、日本企業が国内基盤を強化しなければならない時に、TPPは外国企業が参入する機会を

増やすことになる。そして、参入してくれば、日本のゼネコンは、果たして海外に目を向けるだろう

か。外国企業とゼネコンの両者が、地元企業の脅威となる。(茨城・HN)


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