コラム

2012/01/28

未来を併設した改築(新潟・HT)

未来を併設した改築

▼近所の書店では、現在、改装工事が進められており、近く書店の中にコーヒー店がオープンする。先にコーヒー店を併設している別の店舗では、昼時には、書店をしのぐ勢いで繁盛している。また、別のところでは、ホームセンターの中に、書店が入居するほか、駅構内では、キヨスクに代わりコンビ二エンスストアが進出するなど、最近、別の店が入居した『併設型』の店舗利用をよく見かける。

▼海外に目を向けると、併設型はこの規模ではない。デンマークのコペンハーゲンでは、ごみ焼却場にスキー場を併設した施設の建設が計画されている。日本でも、余熱を利用した発電や温浴施設の事例はあるものの、スキー場とゴミ処理場は例を見ない。

▼計画によると、総事業費約530億円を投じ、老朽化した旧施設の改築に併せて建設。新施設の屋根部分に約3万1000?のスキー場を設けた、新たなゴミ焼却場を併設するもの。2016年度の完成を予定している。さらにスキー場以外にも、さまざまな施設が計画されている。

▼この施設を提案した、同国の建築家ビャルケ・インゲル氏は、コペンハーゲンの新たなランドマークとするほか、他の模範事例として『未来型のゴミ処理施設』と提唱する。もはや単なる改築では収まっていない。

▼老朽施設の改築という当初の目的を著しく逸脱しているようにも思えるが、単に既存の改築だけでは無く、そこに新たな付加価値を生み出す夢のある計画である。新施設の可能性を広範囲に探る点では、同氏の提唱する『未来型』といえる。改築の枠を超えた時、新たに加わる付加価値に可能性や未来が創造される。(新潟・HT)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら