コラム

2012/02/01

世代交代ができる幸せ(群馬・SS)

世代交代ができる幸せ

▼ペットフード協会の2010年調査によると、犬の平均寿命は13・9歳だという。新年早々、愛犬が虹の橋へ向かった。前日まで散歩や食事を普段どおりこなしていたので突然の出来事だった。享年17というのは大往生とまではいかなくとも、頑張って生き抜いたと言えるのではないだろうか。

▼生後間もなく我が家に来た当初は、豆粒のように小さくコロコロしていた。周りは先輩犬だらけだったが、いつの間にか地域の最長老となっていた。晩年は足元がぷるぷる震え「すっかりおじいちゃんだね」と声をかけられるようになっていた。愛犬の死により、地域の犬社会での世代交代が完結したのだろうとも思った。

▼世代交代が上手く行われるのは幸せなことなのだろう。昔からひいきにしている総菜屋の店主が最近、代わった。少し頑固だが憎めないおやじさんから、今は物腰の柔らかい好青年が店頭に立つ。聞けばおやじさんは健在で、隠居し悠々自適の生活を送っていると言う。客足は昔のまま、順風満帆といった印象だ。

▼建設業界はと言うと、特に地場の中小業者でなかなか上手く世代交代が行われていないように思える。家業が建築業だった友人も「将来を見通せない」と断じ、東京でIT業界に入った。父親も立場を後進に譲ることをあきらめ、二代続いた家業を昨年たたんだ。

▼昨今の大災害などを踏まえ、橋梁や教育施設の耐震化が全国的に進んでいる。盤石な耐震性を身にまとうことも、例えれば一種の世代交代なのではないだろうか。それを一手に担う建設業界の疲弊が目に付く。初詣では「世代交代が上手く進むように」と祈願した。(群馬・SS)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら