コラム

2012/02/04

既成概念を打ち破る響き(新潟・CY)

既成概念を打ち破る響き

▼おでんが美味しい季節。いつもよりひと手間加えてみようと思い立ち、レシピを検索していたら、某情報番組のページにたどり着いた。「弱火でコトコトはおおまちがい!」と、驚きの見出しが躍っていた。

▼煮込むものと信じて疑っていなかったが、「おでんは、煮込むより冷ませ」と書いてある。加熱中は、具材の中の空気や水分が膨張し外へと押し出されるため、ダシがうまく入らない。ゆっくりじわじわ冷ますことで、よくしみ込むそうだ。加熱後の鍋を新聞紙とバスタオルでくるみ、夜まで放置を決め込んだ。

▼「煮込むより冷ませ」。既成概念を打ち破る響きに、ある物流会社を思い出した。いかに早く、安く、効率的に届けるかに凌ぎを削る物流業界。どの業種もそうであるように、競争が激化する中で、品質管理や効率化はもはや当たり前の時代だ。生き残るためには、顧客の求めるものを見極め、的確に提供できるかが問われる。

▼前述の会社が着目したのはスピードだが、実は、早さに重点を置いていない貨物もあると気づいた。特に国際物流では、急いで運んでも1週間も待機となったり、そんなに早く持ってこなくてもいいと言われたり、と担当者。「『ゆっくりで、安い』というニーズがあるはず…」。冷ややかだった周囲の反応とは裏腹に、飛躍的に取扱量を増やしていった。

▼通念にとらわれず、対象をよくよく見極めた結果、我が家のおでんはどうなったか。蓋を開けると煮崩れも無く、ダシがしっかりしみこんでいた。コトコト煮込んでいた頃とは全く違う満足の味。省エネで、なおかつ株をあげたのは言うまでも無い。(新潟・CY)

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