コラム

2012/02/07

異色の新弟子たち(茨城・HS)

異色の新弟子たち

▼昨年末に行われた大相撲新弟子検査。初場所の合格者は6人だった。そのうち4人が高校相撲経験者。だが、残り2人の経歴が面白い。一人は相撲経験のないホテル客室清掃係の22歳。趣味は掃除で、中学時代は剣道部、高校時代はゴルフ部に所属していたという。身長188?と将来性が期待できる素材だ。

▼もう一人は、エジプト出身の19歳。多国籍化が進む角界で外国人力士はもはや珍しくないが、アラブ系とはいえアフリカ大陸初の力士が誕生するのだから、周囲の期待も大きいただろう。賭博などで存続が危ぶまれた大嶽部屋に入門し、興行ビザ取得後の3月春場所で初土俵を踏む見通しだ。

▼彼が相撲を始めたのは3年前。それでも世界ジュニア選手権無差別級と重量級で3位に入賞した実績があるというのは見事なもの。身長189?、体重138?の巨体は貫禄さえ感じられる。問題となるは生活習慣の違いだろうか。

▼エジプト出身だけあって、彼も戒律の厳しいことで知られるイスラム教徒だそうだ。礼拝や断食をそのまま時間通りにやっていたら、相撲に影響が出るのは間違いない。全く文化の違う日本での生活にいかに早く適応できるか、こうした問題をどう解決していくかも成功するための大きな鍵となるだろう。

▼今の角界は、横綱・大関の半数以上を外国人力士が占め、外国人力士の半数以上をモンゴル勢が占めている。こうした状況を変えるには、現役の関取が頑張るのはもちろん、新弟子に寄せられる期待も大きい。5年後、10年後、異色の新弟子たちがどのような力士になっているか、今後の彼らの成長が楽しみだ。(茨城・HS)

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