コラム

2012/02/09

デフレかインフレか(埼玉・YW)

デフレかインフレか

▼ユーロ圏経済の破綻が現実視され、わが国も対岸の火事ではないとシャカリキに野田総理ら政府幹部はコマーシャルする。

▼円高が貿易産業を痛打しているが、同時に長年続くデフレスパイラルが景気後退の根源とされている。全体的にモノの価格が安くなり、確かにデフレなのだろうが、同じ国内でも、デフレではなくインフレか―などとささやかれ、そこまでいかなくともプチバブルといわれ始めているのが仙台周辺である。

▼仙台市内のホテルは慢性的な混雑、繁華街の国分町は夜にタクシー手配がままならない、地元の老舗百貨店は高級ブランドから売れているとか。車も高級車が首都圏の売れ行き台数並みに売れているそうだ。これを聞くとシャッター街の中心市街地、おそらく全国的傾向だろうが、うらやましい限りであろう。

▼それだけではない。公共工事の過当競争で落札金額が下がり続けている中、東北の被災3県では入札不調が400件を超え、復興工事の進展に陰がさしている。従来の単価では割りに合わず、作業員が集まらず人手不足でうまみのない工事にはエントリーすらしない傾向が顕著に現れているようだ。他のエリアの建設業者にとっては「同じ国内のことか」と、うらやましい限りだろう。これを機に国土交通省も賃金基準見直しにとりかかるという。

▼こうした現象を見聞きすると、長年懸案のデフレなのかわからない。一部エリアだけでもインフレとまでいかなくとも価格の高いモノから売れるという高級志向なのか、お金が豊富に市場に出まわっているのか、実態はともかく被災地の1日も早い復興を願ってやまない。(埼玉・YW)

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