コラム

2012/02/28

ファンタジスタの到来待望(茨城・MK)

ファンタジスタの到来待望

▼ドラガン・ストイコビッチ氏をご存知だろうか。現在はサッカーJ1・名古屋グランパスエイトの監督を務めているが、筆者にとっては選手時代の印象が強い。予想もできないような華麗なプレーが衆目を集め、ファンタジスタ(ファンタジーをもたらす選手)とも呼ばれた。

▼ストイコビッチ氏は旧ユーゴスラビア(現在のセルビア共和国)の出身。現役時代の愛称は「ピクシー」(妖精の意)で、妖精のごとく舞うようにプレーする姿から付けられた。地元クラブでデビュー後、フランスの名門チームで欧州王者に輝いたが、八百長問題で優勝ははく奪される。旧ユーゴのナショナルチームでも中心選手として活躍し、当時の欧州選手権の優勝候補といわれたが、ユーゴ内戦の影響でユーゴそのものが出場できず、代替出場のデンマークが優勝する。困難を抱える祖国を持つフットボーラーとして苦労した。

▼その後、名古屋グランパスエイトに移籍して活躍。現役引退後はユーゴスラビア(セルビア・モンテネグロ)サッカー協会長など歴任し、2008年に日本に戻り名古屋の監督に就任した。

▼彼の現役時代は、その才能からすると栄光に満ちていたわけではない。むしろ苦難の方が多かった。しかし、その美しく華麗なプレーは忘れられない。タイトルあるところ必ず王者は誕生するが、プレーそのもので賞賛を得る選手は稀だ。

▼近年は何かと堅苦しさや息苦しさを感じさせる世相である。そんな中、創造性に溢れたプレーで魅了する選手が少なくなっている感も否めない。見る人の気持ちを高めるファンタジスタの登場を待ち望みたいところだ。(茨城・MK)

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