コラム

2012/03/06

M1の違いが大ごと(茨城・HS)

M1の違いが大ごと

▼ニュージーランドでマグニチュード(M)6を超える地震が発生したのは、東日本大震災の前の月のこと。日本人の死者は28人を数え、全体の死者行方不明者数は約400人に及んだ。当時は連日メディアを騒がせたが、まさか1カ月もたたないうちに、それをはるかに上回る大地震が日本を襲うとは、一体誰が予想できただろうか。

▼東日本大震災のMは9・0。死者・行方不明者は約2万人。Mが1増えると地震のエネルギーは32倍に、2増えると1024倍になるという。地震大国で暮らす人間として少しくらいの揺れには慣れていても、やはり体験したことのない巨大地震は怖いものだ。

▼2008年には中国四川省でM7・8の大地震が発生した。パンダや激辛料理で知られるこの地域は、海に面していないので大津波はなかった。しかし、死者・行方不明者数は東日本大震災の4倍以上、9万人近くにも達した。建物の耐震化にあまり力を入れておらず、多くの人、特に児童生徒が瓦礫〈がれき〉の下敷きになったというから、日本でも安全基準が低ければ似たような事態になっていたのだろう。同時に、それだけの耐震性能を実現した建設業者に感謝しなければならない。

▼それから3年9カ月。四川大地震の復興再建事業が完了したと宣言された。復興再建に投じられた資金は日本円で約21兆6000億円。今後は被災地の発展に力を入れていくそうだ。

▼Mが1以上も違うのだから、日本でも21兆の32倍以上のお金を復興に投じたら、と思ったが、国の財政も相変わらずの再建中だった。ならば、せめて傷口がこれ以上広がらないことを祈るほかない。(茨城・HS)

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