コラム

2012/03/16

感謝の手紙を送る(茨城・HN)

感謝の手紙を送る

▼娘が、なにやら紙と鉛筆を持ち出してきた。慣れない手つきで覚えたての平仮名を書いている。「何を書いてるの?」と聞くと、「宇野さんに手紙を書くの」と娘。宇野さんの名は、娘の口から初めて聴く。誰だろうと思いながら、書く様子を見ていると、どうやらお礼の言葉らしい。

▼文面には、なにやら「わたしのようちえんをなおしてくれてありがとう」と書いているようだ。そして「なおしてくれて」の文面を見てピンときた。それは地元の建設業者、宇野建設に宛てたものだった。

▼3月11日の大震災では、茨城県の海沿いを中心に官民さまざまな施設が被災した。地元常陸太田市でも、市役所や学校など多くの公共施設が被害を受けた。娘が通う少し高台の幼稚園も、法面や園庭に大きな地割れが入ったほか、園舎の遊戯室やトイレなど、一部の施設が使用不能になった。

▼あの震災当日の時間帯、娘はもう園舎に居なかったが、もし園庭で遊んでいたら…。考えるとゾッとする。あるいは震災後の傷ついた幼稚園を、娘がはじめて目にした時の気持ちは、どんなものだったのだろう。なんて考えていると、せっせと手紙を書く娘のとなりで、なんだかとても暗い気分になってしまった。

▼しかし、そんな娘が今は普段どおり、同じ幼稚園に通っている。そして、元通りとなった園庭や遊戯室で、楽しい時間を過ごしている。そんな姿を見て、あらためて公共事業の意義と、地域の安心・安全を守る地元建設業者の大切さを実感する。子供たちのような素直な感謝の気持ち―。われわれ大人たちも、そんな思いをしっかりと態度で示したいものである。(茨城・HN)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら