コラム

2012/03/30

伝統を脱ぎ捨て生きる道(茨城・NI)

伝統を脱ぎ捨て生き残る道

▼高度経済成長の1960年代、少年たちの大好きなもの3つは、巨人・大鵬・玉子焼きと言われた。70年代生まれの子ども達の多くは、プロ野球のロゴが入った帽子をかぶった。テレビで巨人戦が放映されるとテレビに釘付けになったものだ。80年代に入り、相撲の千代の富士は強かった。

▼その後90年代になるとJリーグ人気が到来。ジーコやストイコビッチなどサッカーの世界史に名を残す稀代の名選手たちが日本で活躍した。相撲の人気も衰えず若・貴と曙が全盛期の大鵬人気に負けずとも劣らぬくらいの盛り上がりを見せた。その分、野球人気は相対的に下火となっていった。

▼それが現在では、日本のプロスポーツを代表するこれら3つが、揃いも揃って赤字経営だ。伝統にあぐらをかいて進化を拒否し続けてきた結果だろう。赤字経営のため、適切なサービスの拡充ができないのであれば本末転倒である。ただ、地元密着型のスタンスだけは唯一、昔に比べ進化している。この点は、より一層磨きをかけ、ファンとのふれあいや対話をもって顧客満足の向上を目指して欲しい。

▼日本の国技たる相撲も、赤字がこれ以上続き、本当に変われないなら抜本的に考えた方がいいかもしれない。その道のプロに、組織運営から伝統を守りつつの進化のプロデュースまで一連を委託するなどの道もある。

▼スポーツを愛好する一ファンとして、過去にこだわらない未来を見据えたプロスポーツのあり方の模索に大いに期待したい。少年時代の好物だった「巨人・大鵬・玉子焼き」。今では玉子焼きが上から目線で笑っている。進化したのは俺だけかって。(茨城・NI)

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