コラム

2012/04/28

豊かな自然と災害の脅威(東京・HM)

豊かな自然と災害の脅威

▼今年も我が家にツバメが巣くった。春先の田舎暮らしは楽しい。近所で摘んできたツクシや菜の花を食べる。草団子づくりにもチャレンジしようと思い、昨年から庭にヨモギも植えた。季節ごとに違った顔を見せる日本の四季。子どもの頃から、世界でもこれだけ春夏秋冬が違った顔を見せる国は珍しいと教えられ、それを誇らしく思っていた。

▼一方で、その自然が猛威を奮うことがある。地震、土砂災害、豪雪、火山。これらは表裏一体のもので、どちらかだけあるということはない。豊かな自然と災害の脅威。同居するこの2つと折り合いをつけることが大切だ。

▼例えば豪雪災害。昨年の死亡者は131人、今年は130人(3月29日現在)。被害者は65歳以上の一人暮らしが多い。まわりに頼める人もいない。かといって屋根に積もった雪も放置できない。その結果の事故。こういった問題に最もスピーディに対応できると考えられているのが、人の手による「共助」だ。地域コミュニティ、ボランティアによる雪かきなどの取り組みが進められている。

▼ちょっと変わったものでは、新潟県内で地域外の担い手による共助を進めており、そのため雪を知らない人に対して、カンジキのはき方や歩き方、スノーダンプの使い方などの指導も実施している。

▼東日本大震災以降、こうした共助の取り組みが加速している。人と人の絆、助け合い、少し忘れかけていたものが災害を契機に再びスポットを浴びている。皮肉なようでもあるが、災害に立ち向かう強さを持っている日本が生み出した折り合いの付け方。それが日本人の持つ最大の武器である。(東京・HM)

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